正しい日本語


唐突ですが,正しい日本語って何ですか?


よく言われるのが,全然の肯定表現の是非,生きざまなんて言葉はない,少し違ったところで,確信犯,といったところでしょうか.




トラックバック先が結構面白いなぁと思うんですけど,特に生きざまについての以下の部分が気になります.

また、岩波国語辞典の編者である水谷静夫は、インタビューの中で、「生きざま」という言葉について、次のように語っています。


 嫌な言葉です。実に嫌な言葉です。新しくできた言葉だが、「生きる」と「ざま」という言葉の組み合わせに違和感があります。単に生き方というなら、「ざま」を使うのはおかしい。

 「ざま」は、江戸時代には、すでに「さま」から転じて、「ざまをみろ」などといった具合に、様子やなりふりをあざけっていう言葉になっていました。昔からある「死にざま」との連想から生まれたと思うが、そうだとしたら、ろくでもない生き方といった意味になる。ところが実際には、誇らしげな文脈で使われています。これもおかしい。

(石山茂利夫 『今様こくご辞書』 読売新聞社 P66より)


http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/2003/shinizama.htm 参照

ということで,言わんとすることはわかるんだけれども,個人的には気に入らないところです.水谷氏は,江戸時代に「ざま」は「さま」から転じていると述べていますが,一体,水谷氏はどの時代のどの言葉をもってして,正しい日本語,美しい日本語,おかしくない日本語とするのでしょう.生きざま,という言葉をあと100年ぐらい現在の意味で使い続ければ,正しくなるのでしょうか.当然,言語は変化していくものであり,ある時代に完成し,その後衰退するものではないと思います.「ざま」という言葉は,江戸時代に「さま」から転じたことで,もうそれ以上変化してはいけないというのでしょうか.




そういう意味で,正しい日本語,というものが嫌いです.その『正しさ』は未来永劫,誰かが保証してくれるのでしょうか.






あと,確信犯という言葉,辞書に掲載されている意味で使われているところを最近聞いたことがありません.この言葉を,『正しく』使える人って,どれぐらいの数がいるのだろうか.


僕は自信がありません.でも使わないから間違えることはない.