列車事故考察I


まだ中に人が残されている状況のようですが,少し落ち着いたので事故について書きます.

常日頃,多様な視点で物事をみるべきだと思い,そう述べていることもあるため,今回はそういった趣旨で事故を考察してみます.


報道などを確認すると,やはりJR西日本に対する非難がかなりあるようです.もちろん,そういう責任ある立場の会社であるし,原因を持っているのもJR西日本だとも思います.しかし,だからといって,ひとつの悪者を作ってしまって,原因追及がそちらばかりに向いてしまっている現状,今後もそうなりそうな状況を僕は危惧します.

具体的には,JRが,安全面を軽視する傾向にあるという報道です.これは,民衆は実に納得しやすいし,そうであればJRが悪者となって物事がきれいに片づきそうではあります.

しかし,なぜそうなったのだろう? 本当にJRの内部からだけ生まれた体質でしょうか?


コストダウンを追求することによる安全性の低下というのは,やはりJR側の悪だと思います.ただ,今回運転士に対するプレッシャーについても取り上げられていますが,定時運行を遂行するために,運転士などにプレッシャーがかかり,結果的に安全性が低下するという事に関しては,JR側だけの責任ではないように思います.

民衆は,電車が5分遅れると,イライラし,人によっては駅員にクレームをつけます.実際,そういった人を何度も目撃していますので,これは事実でしょう.

では電車が遅れる原因とはなんだろうか.いくつか挙げられる要因として,

  • 人身事故
  • 駆け込み乗車
  • 乗降車時の混雑

などがありますが,これらの原因を作り出しているのは,他ならぬ民衆ではないですか.自分たちが悪いのに,その文句をJRにつけているような状況なのです.


またこの事からもわかりますが,民衆のニーズは『ダイヤを守ること』なのです.民衆は電車は安全だと確信しています.それ故,わずかな遅延を許容しません.今回,運転士がダイヤを守ることについて過剰なプレッシャーを受けていたとして,もしそれが原因でなんらかの精神異常をきたしていたとしたら…….


そして,今回も悪者はJRになりました.当然,民衆は反省をうながされる方向にありません.結果的に,民衆からJRに対するプレッシャーは軽減されないでしょう.事故の原因のひとつを,こつこつと積み上げてきたかもしれないのに.


そう思うと,この原因が取り除かれなかったことによって,たとえJRが変わることが出来たとしても,もう一度同じ事故がおこるのかもしれません.