死の間際


最近体調が悪かったのか,夢は見るけど覚えていないことが多かったのですが,今日は久しぶりにちゃんと覚えていられる夢を見ました.


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舞台は夜の屋上.ジャンルはハートフルなハードボイルドという感じ.

僕の所属するグループのアジトみたいなものなんですが,敵対しているグループからの襲撃があるという情報が最近流れていました.僕の立場はメカニック的なもので,武装して戦う技能はもっておらず.その代わり他のメンバーは銃器をちゃんと装備してます.

しかし,今夜はどうやら襲撃はなさそうだという情報です.まぁでも一応,警備はしておかねばというところですが,談笑しながらというちょっと余裕のある感じでした.何か大型の機械のチェックをしていたため,僕も屋上で作業をしていました.

襲撃がくるとおぼしき時間(0時頃)が近づいてきたので,全員の時計を秒単位で合わせます.

しかし時計を合わせたまさにその瞬間,全身を特殊なスーツにつつみ,顔もガスマスクのようなマスクでおおった部隊が10人ぐらい襲撃してきました.ただの作業着姿の僕は,特に武器すらもっておらず,壁際に小さくなっているしかありません.

激しい銃撃戦が始まり,こちらに注意がこないことを祈るも束の間,ひとりの襲撃者に発見されました.しかし隣にあるのは先ほどまでいじっていた機械のみで,どうしようもありません.

何のアクションシーンもないまま,あえなく銃撃されてしまいました.しかし,麻酔針のような衝撃をうけただけで,痛みはありません.ここは動けないふりをするしかない,となぜか確信して倒れ込んだのですが,ふりをするまでもなく,まもなく体中が痺れて動けなくなってしまいました.

襲撃者は近寄ってきて,何やら注射器のようなものを取り出しました.中にはあやしげな薬品が.何かよくわからない成分ですが,精神的に作用しそうな物体です.マスク越しににやりと笑いながら,動けなくて地面にはいつくばった状態の僕の顎を持ち上げ,目を見ながら,「なかなか純粋なやつだ,目を見ればわかる」と言いました.ただし,ここでの『純粋』の意味は,『煙草をすっていない者』の意味ですので,なんだかよくわかりません.

「こりゃ上手くいくかもな」という言葉をはいた後,彼は僕の腕に注射器をぶすっと刺しました.液体に身体が順応しない場合は死あるのみです.


ところが,注射してまもなく,吐血.


どうやら失敗のようです.彼は「ちっ」という舌打ちを残して,撤退していきました.どうやら他の襲撃者たちも今宵は撤退する模様で,嵐のように去っていく姿が見えました.

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場面は変わって,医務室.時間は翌日のお昼頃でしょうか.

とりあえず生きている僕は医師の診察を受けました.

「今日で終わりだな」

という診察.どうやら今日一日,生きることすらできない模様です.そういえば,あれから何度か吐血しています.気分も悪く,足下もふらふらしています.なにせ,もうすぐ死ぬのです.

ふらっと医務室を出て,何人かの仲間のいる部屋に帰りました.そこはとても和やかな感じで,とても今にも死ぬとは信じられないのです.

しばらく何気ない世間話をしました.今日の晩ご飯がどうだとかいう話をしました.他にも話した気がしますが覚えていません.そしてふとした拍子に,言いようのない恐怖感にかられて,立ち上がり,隣にいた友人に叫びました.もうすぐ死ぬんだ,怖い,と.

切々と,そんな内容を,泣きながら叫び続けました.途中で,咳き込んだと思ったら,口をおさえた手には血がべっとりとついています.いよいよ,もう駄目なのかもしれません.友人は,だまってこちらの言うことを聞いてくれて,けれども慰めも励ましもしてくれません.どうしようもない状況だったので,むしろそんな友人がありがたく感じました.

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場面は変わって,夕方.

同じ部屋にひとりで座っていました.気分は先ほどよりは幾分か優れています.ぼーっと窓を眺めていると,なんだか本当はこのまま死んだりしないんじゃないかと思い始めてきました.身体は思い通りに動かすことができます.

そう思い始めると,心が軽くなったのか,晩ご飯を食べに食堂に行くことにしました.部屋を出ると,とくに何も変わらない友人達がいます.彼らに向かって,なんかこのまま死ぬような気がしないわ,と言っていると,彼らはふぅんと言っていました.

それでも,どこかお酒をのみすぎた後の嘔吐感に近い,血を吐きそうな感覚はつきまとっています.やっぱり死ぬのかなぁ,いやでも死にたくない,という葛藤が続きます.

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さて,夢はここまで.当然ながら夢なのでオチはありません.

今日は不思議と安らかに目覚めました.後,あ生きてる,と胸をなで下ろしたのを覚えています.