展望


研究室に泊まり込んでいる人が多かったので,何となく会議室でいろいろな話をすることができました.

どんな話をしていたかというと,中国の経済,産業,アメリカの経済,貧富の格差,資本主義,社会主義,日本の産業,教育,西欧の教育,少子化,今後の日本の展望……そういったことをとりとめなく議論しました.実りがあるとかどうとかいうよりも,まぁこういう話を長々とまじめに話をするという機会が重要でした.よい.

とりあえず,現在の日本の教育に問題があるというところが,概ね共通の問題意識だとわかりました.しかし,問題点はわかっているのに解決策がない.問題点は,教育にビジョンがないという点.結局,数学は何のために必要なのかが,学校にいる間でいうと,本当に大学の4年生ぐらいにならないとわからない.そして予想だにしない職業で必要となってきたりする.しかし,そういったビジョンがないものだから,何のために勉強するのかがわからなくて,モチベーションを維持できない.人材が育たない.そういったあたりが問題なんだろうということです.

持論としては,最重要なポイントは,メディアです.メディアの扇動・先導.これが現在もっとも日本でかけているものだと思います.メディアの質というのが,実に陳腐なのではないかと考えます.別にバラエティだとか好きだし楽しんではいますし,そういうニーズがあるから成り立っているものだというのも理解できます.

しかし例えば現在のお笑いブーム.やがて廃れるだろうということすら,まことしやかに囁かれていますが.結局,流行なんていうものは,生まれるものよりも作られるものの方が圧倒的に多いのではないかということです.メディアが,お笑い,というコンテンツを多量に供給することで,受け手はそれが流行していると思い,特に違和感を感じることなくそれを需要するという構図があると思います.

つまり,メディアというものは,実に強大な力で,民意を先導することができるものなのです.そして,それは誰しも考えればわかることだけれども,気づかないふりをしているのではなかろうか.NHK問題しかりです.最も,メディアの役割を熟考し,メディア自体の方向性を見いだす必要のあるのが,有料メディアであるNHKであるはずです.今は,ちょうどいい過渡期だと思います.今後,NHKがどうかわるのか.民放に急激な変化を求めるのは難しいと考えます.変わることができるのはNHKしかないという期待があります.どうなるのだろうか.

もちろん,娯楽は必要な文化だと思います.決して廃止するべきものではないし,良質なものを追い求める必要もある.ただ,メディアにできること,メディアの持っている力の強大さを,もっと真摯に受け止める必要があると思います.メディア自体しかり,国家的にも考える時期なのではないでしょうか.国家の教育政策が腐敗しているので期待はできませんが.

何はともあれ,最も必要なものは,現状の把握なのではないかと思います.あらゆる多面的な視点で,現状を偏見なしに分析すること.どういうことが起こっているのかを,非常に客観的な視点で見ること.十分な量のデータを集めること.そういったことができるのは研究機関だけではなくて,メディアの担うことのできる分野ではないかと思います.

もうひとつの問題と解決の必要があるのは法整備だと思います.法整備については言うまでもなく,現在の刑法はバブルすらはじけるずっと前の戦後の法制度のもとに成り立っています.慣習にとらわれることなく,その慣習すら客観的に多面的に見直し,必要な部分,不要な部分,足りない部分を分析しなければならないのでしょう.そうした活動をしている人がもっと報われなければなりません.それを可能にするのも,結局は正常な理想な状態を維持するメディアでしょう.

ということで個人的なソリューションは,メディアの変遷と法整備,としてみます.

どうなるのかなぁ.死ぬまで日本は無事に国家として成り立っていられるでしょうか.